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写真記
カルスの街とアニ遺跡

カルスはグルジア、アルメニアに近く、アニ遺跡観光の拠点となっている街。かつて帝政ロシアとオスマントルコとの間で激しい争奪戦が行われ、ロシア領になったこともあり、その面影が街に残っています。そんなカルスの街と、アルメニアとの国境にあるアニ遺跡を紹介します。


まずは地図で場所を見てみましょう。カルスはトルコの中でもアルメニアとグルジアとの国境に近い街。アニ遺跡はまさにアルメニアとの国境に接していて、いかに戦略的に重要な場所かがわかると思います。



アニ遺跡への拠点として有名なカルス。でもこの街もかつて帝政ロシアと領有をめぐり激しく争われた土地。それだけに街を見下ろす丘の上には古い城が残っています。それが「カルス城」。


カルス城は夜にはライトアップもされ、街のシンボル的な存在になっています。


日の出前、例によってホテルを抜け出し、城壁の下から街を見下ろしてみました。



カルス城の城門の写真。残念ながら固く閉ざされ、開きませんでした。ここまで行ったことのある日本人ってそうは多くは無いと思う。


カルス城から見る日の出。


城の裏側は崖になっていて、下を川が流れています。


この川はカルス城を周り込むようにして、街中へと流れていきます。


カルス城のすぐ近くには教会がありました。建築様式からするとあきらかにアルメニア正教の教会ですが、現在はモスクとして使われているようです。


ドームの下の部分にはオリエント文明の影響を受けたと思われるデザインの人物のレリーフが見られます。おそらくはキリスト教の聖人を描いたもの。


建物に生えた草花が、流れた時の長さを物語っているようです。


さて、この写真はカルスの街中にある博物館。ここにはアニ遺跡に残されていたものが展示されています。この鐘と木の扉は遺跡内の教会のものだったとか。


鐘にはイエスの姿が描かれていました。ためしに鐘を軽く叩いてみると、カーンという音が小さく響きます。この音を耳によく覚えさせてから遺跡へ行くことにします。


アニ遺跡はまさにアルメニアとの国境にあります。木が一本も無い丘陵地帯に11世紀に建てられたという建築物の「なごり」が点在しています。この写真の奥の方がアニ遺跡。


アニ遺跡を取り囲む城壁。城壁の規模からも当時の街の大きさが偲ばれます。


ライオンの門と呼ばれる城門。入ったところにライオンのレリーフがあることからそう呼ばれています。さて、ここから先は残念ながら撮影禁止。ちょっと不満ですが、中へ入ると撮影禁止の理由も納得できます。

(次からの3枚はホテルで購入した写真をスキャンしたものです。)


敷地は急峻な峡谷により二分されています。この川の向こうは、もうアルメニア。
ここは戦略的に非常に重要な場所で、今も見張り塔が建てられてトルコ軍により警備されています。観光中も必要以上に川の向こうを見ないようにガイドから注意を受けました。

(この写真はホテルで購入した写真をスキャンしたものです。)


アニはかつてはアルメニア王国の王都であった街。13世紀、モンゴル人の侵入によって廃墟となったと言われています。

(この写真はホテルで購入した写真をスキャンしたものです。)


当時、多くの教会が建てられ、今もいくつかのその跡が残っています。

(この写真はホテルで購入した写真をスキャンしたものです。)

おそらくは、隣国のアルメニアにとって、ここは「聖地」なはずです。普通ならきちんと整備して「世界遺産」に登録されても良いような遺跡ですが、こうして朽ち果てていくままに放置されているのは戦略的な理由からなのかもしれません。でも、これだけの遺跡があまり人目に触れることがないというのは、ちょっと残念な気がします。

この章終わり


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